私は仕事柄、
いろいろな会社の
人事に関係することを
見ています。
そんな中、
どの中小企業にも、
ほぼ共通して見られる
人事の問題・課題
というのがあります。
それは、
「仕事が個人について
しまった結果、
その仕事を
他人が引き継げない」
という問題です。
これは、
創業間もない会社には
よくあることなのですが、
ある程度社歴のある会社にも
多く見られる現象です。
経営者にはもともと、
考えなければならないことが
たくさんあるため、
仕事をまとめて
引き受けてくれる人がいると、
「心強い」とさえ思うもの。
しかし逆を言えば、それは
「その人がいないと、
その仕事が、
他にわかる人がいない」
状態ということであり、
会社としては非常にまずい事態に
陥っているのです。
こうした状態を
そのまま放置した結果、
古参の社員が
退職する年齢になっても、
業務を引き継ぐ代わりの
人材が見つからず、
やむなく古参の社員を
嘱託などにして、
そのまま再雇用しているという
パターンを時々見かけます。
しかしそれでは結局、
問題を先送りしているに
過ぎません。
こうした状況を
打開するには、
仕事を平準化することが
大切です。
つまり、
仕事を誰かに
集中させるのではなく、
分散させることです。
そもそも、
ベテラン社員が
長い年月を経て培ってきた
「あうんの呼吸」を
誰かに引き継がせようなど、
土台ムリな話です。
ですが、
ベテラン社員の業務の中にも、
必ず一般的な業務が
含まれているもの。
まずは、
そうした判断の不要な作業的な仕事や
ルーティン的な仕事から
誰かに引き継がせるようにします。
続いて、
ベテランが長年の
経験でやってきた仕事を、
既存の社員の中でも、
なるべくその仕事が
わかりそうな人に引き継がせます。
ポイントは、
ベテランの仕事を数名に
分けて引き継がせること。
そのまま誰かにすべてを
引き継がせようとすることは、
元の木阿弥になるだけ。
中には、もしかして
「今まで、できなかったのに、
急に引き継ぎできるようになる
ものなのだろうか?」
と思う人もいるかもしれません。
もし、社内だけで
この問題を
解決できそうもない場合は、
第三者に入ってもらう方
がいいかもしれません。
中立的な立場だったり、
忖度のような空気を
払拭できるような人に
関与してもらうことで、
遅々と進まなかったことが
スムーズに進むようになったりします。
また、その他、
新人をベテランの
アシスタントとして付けて、
その人の仕事をマニュアル化する
というのも良い方法です。
こうした引き継ぎは、
いきなりはできないものですから、
早めに、少しずつ手を
付けていくことが重要です。
いざそうなった時に、
慌てることのないように
したいものですね。
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Profile
1971年 島根県生まれ。
大学卒業後、大学進学予備校、人材派遣会社、「戦略的目標達成プログラム」に代表される研修会社アチーブメント株式会社を経て、住宅メンテナンス会社の株式会社バーンリペア(キャンディルグループ)に入社。
人材採用・育成・風土づくりの3つを担う「ヒューマンサポート部(人事部)」をゼロから立ち上げる。